左腕を見ると、腕時計は一時を指していた。 どうりでさっきから腹が鳴るわけだ。 このあたりに他に見当たる建物はない。 なにせ、山奥なのだから。 「・・・金もあるし、入ってみるか」 色あせたカーキ色のリュックサックに、スーツ姿の男が、その一風変わった店に入った。 カランッ――― 「いらっしゃいませ」