蚊の鳴くような、と言えばいいのか、なんというか。 そんな声が聞こえてきたのは、どうやら琴海からで。 俯いていて表情はよく見えない。 ・・・今、何て言いましたかね? 「琴海ちゃん?」 姉貴が尋ねると、今度はパッと顔を上げて姉貴を見た。 その顔は真剣で、思わず俺もピクッとなってしまった。 「幸哉はルックスだけじゃありません!」 「「「・・・・・・」」」 一瞬だけ、本当に一瞬だけ、周りが静かになった。