ピクッと肩が跳ねたように見えた。
でも、こっちは向いてくれない。
そっと風が吹いて、琴海の髪がなびく。
その拍子にチラッと輝く何かが見えた。
それは琴海の頬をスッと流れていく。
「だっ、泣くなよ!」
琴海の正面に回り、その顔を見たとき、俺はバカだと思った。
「・・・琴海」
「・・・お姉さん?」
俯いて、ポツリと零れた言葉は、俺の耳に静かに届いてきた。
その声からして、きっと信じ切ってもらえてないんだと思う。
過去だって、そうだったから。
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