変な、厭な客だと思われたくない。 「お客様の、いえ、近藤さまのためのお料理ですから」 「俺の、名前」 笑うでもなく、困るでもなく、焦るでもない店員は静かに"はい”とだけ答えた。 「では、ごゆっくりと」 「ふざけるなよ!」 スクッと立ち上がってその場を後にしようとする店員の腕をつかみ、もう一度そこへ座らせた。 納得がいかない、いや、納得なんかできるはずがない。