「今日が文化祭・・・」
「幸哉、昨日あんなにワクワクしてたくせに。さっきだって早く行こうって、手繋いで歩いてたのは幸哉でしょ」
「まじ!?」
このに文字の言葉が玄関に木霊し、そこにいたみんなが俺を見た。
俺はきっと、異世界から来たような人、だろうな。
数分前に楽しそうにしていた奴が、今や文化祭の事実さえも忘れてるんだから。
「あ、ははは、はは・・・、楽しみすぎて頭おかしくなったのかもな、俺」
とにかく苦笑いと無理やりな言葉を並べ、早歩きで教室へ向かった。
教室で自分の机に着いて、今の俺の頭の中を整理しようとした。
でも、琴海が俺の顔を覗き込んで「大丈夫?幸哉」と半ば真剣に聞いてきたことで、もうこのままの流れでうまくやっていこうと断念した。