その瞬間、琴海が顔を上げたのはわかった。 でも、どんな表情かはまだハッキリわからない。 でも、さっきの話し方からして、察していたこと。 きっとそれは当たっていて、琴海の頬をキラッと光るものが見えた。 「・・・帰るぞ。ほらっ」 「っうん」 俺の手をギュッと握って、ゆっくり歩きはじめる。 そうだ、確かにこんなことがあった。 こうやって手を繋いで帰った記憶が蘇る。