甘いキスに加えて、甘いセックス。

 こういう夜が時々訪れる度に、ああ……こんな幸せな時間は長くは続かないのではないかしら、と、不要な心配事があたまをもたげたりした。
 幸せ過ぎると怖くなるというのは本当で、次にくるかもしれない悲しい出来事が何なのか想像もできないけれど、確実に何かが起きそうな予感がして。

 私は光一さんに抱きつきながら少し泣きそうになるのだった。


 予感が的中したとは言えないのかもしれないけれど、数ヶ月光一さんとの甘い生活が続いた3月のある日、とんでもない事が起こった。
 いつも到着する電車の時刻を教えてくれる光一さんからのメールがなく、私はアパートで心配していた。
 もう日も暮れて7時になろうかという時間、携帯に電話が入った。

「もしもし、光一さん?どうしたの?」

 電話の向こうの彼は、少し動揺しているようだった。

「鈴音……今日はちょっと会えそうにない」
「何があったの?」

 私は彼の身に何か起こったのかと思って、そう聞いた。