慧「美樹、美樹! 起きろ」
慧があたしを起こしてくる。
美樹「ん~、なに? あたし、起こさなくていいって言わなかった?」
慧「言われてない。 それと、もう2時間目始まるぞ? 陽さんとの約束はいいのか?」
陽との約束…?
…………ああ! 忘れてた。
てか、屋上とかめんどくさいな…。
秀「露骨に嫌な顔すなや。 はよ行くで。 多分、5人全員揃ってると思うで!」
あたしは秀に背中を押されながら教室を出た。
慧「ほら、行くぞ」
あれ?
なんでこの二人ついてくるの?
美樹「何やってんの? 二人は授業受けてきなよ。 屋上ぐらい一人で行けるから」
慧「ダメだ。 俺らは陽さんにお願いされてんだからな」
美樹「お願い?」
秀「そうやで~。 学校では美樹ちゃんのことよろしくね? って言われてん!!」
そういうことか…。
別にいらないのに…
仮にも……いや、仮じゃないな。
世界トップの暴走族総長だったし…。
美樹「ま、いいや。 じゃ、ちゃっちゃと行こうか。 眠たいしね」
慧「ちょっと待て。 美樹、寝ちゃダメだぞ? 寝に行くんじゃないからな?」
うーん、眠いのはしょうがないしな~…
美樹「小さいことは気にすんな。 なんとかなるよ」
あたしは特に気にすることなく、屋上を目指す。
慧「なんとかなるって…」
呆れたような慧のため息が聞こえてきたけど、無視しよう。
あたしたちはそれから屋上に着くまで、『寝る』『寝ない』で揉めていた。