「不思議だったんです。
 城崎さんはとても無口でぶっきらぼうなのに、どうして明や香織さんのような正反対の人が近くにいるのかな、って……」

「悪口を言いたいのか?」

「そうじゃないですっ。でも事実じゃないですか」


城崎さんは「余計なお世話だ」と言って笑った。
そんな城崎さんを見て、あたしも思わず少しだけ微笑んでしまった。


「照らしてたんですね。城崎さんのことを……」

「……」


お互いに、ただ水槽をじっと眺めていた。
表情はどう変化したのか分からない。


「あたしは……たぶん、照らしてあげることはできない」


この先、あたしは一体何を言おうとしているんだろう。
封印したはずの想いが、自らの意志で勝手によみがえってく。