「まだここにいたのか」
「城崎さんこそ……」
「俺はここが一番好きだからな」
「あたしもです。一番落ち着く…」


どちらともなく、一つのクラゲの水槽の前で止まった。


「香織さんは?」
「たぶん、先のコーナーで待ってる。あいつはこういうところが苦手だからな」
「暗いところが苦手?」
「いや、単純につまらないらしい」
「綺麗なのにね」


ふわふわと泳ぐクラゲ。
青い光を放って、狭い水槽を泳いでいた。


「明に……城崎さんの両親のこと、聞きました……」
「……そうか」


怒られるかもしれない、と思ったけど、城崎さんは特別何も言わなかった。