「ここ、深海コーナーだってー。
 暗いから早く次いこー?」
「いや、俺はこういったところが好きなんだ」
「もー……」


そんな会話が、なんとなく聞こえた。

見上げると、「深海のお魚」と書かれていて、中は真っ暗。
水槽だけが薄く光っている。


あたしもこういったところが好き。

特別暗い過去を持っているわけではないけど、昔から少し冷めたところはあって、可愛いラッコやイルカよりも、神秘的に光る魚やクラゲのほうが興味ある。


「綺麗ー……」


あたしはほんのりと光るクラゲを見て、感嘆の声を漏らした。