明から、意外な事実を聞かされた。
城崎さんは、両親を亡くしてる。
しかも中学の時に……。
「たぶん、俺らが思っている以上に悲しい思いや辛い思いをしてるはず。
だけどそれは、どうやったって俺らには分からないから…。
だからその分、明るい気持ちをあいつに与えたいんだ」
ようやく分かった。
無口でクールな城崎さんの周りに、
太陽のような明るさの、明と香織さんがいる訳を……。
二人の明るさが、今の城崎さんを照らしてあげているんだ……。
「……最初から、敵うはずないんだ…」
「え?」
「あ、ううん!なんでもない」
思わず漏れてしまった言葉。
明には届いていなかったみたいで、あたしは慌てて首を横に振った。