「それなら、ヒロ誘うか!」
「え…?」
「ヒロも彼女いるし、ダブルデートなんかどう?」
明の出した提案は、あたしにとって最悪なものだった。
「あいつ、普段他人には毒吐きまくるのに、彼女の前でだけは言いなりだからなー」
「……」
一人、面白そうに笑う明。
きっとあたしは今、笑えてない。
「あ、ごめん。もしかして、ヒロのやつ、夕菜にも毒吐いてる?」
「え?そんなことないよ!むしろ、みんなからの評判もいい人だよ」
「マジで!?あー…でも確かにあいつ、猫かぶりなとこ、あるからな」
確かに、お店での城崎さんはすごく誠実だ。
だからほとんどの子が、城崎さんにハートマークを向けている。
「じゃあ、いい?」
「……うん。いいよ」
あたしは、そう答えるしかなかった。