お店には、きっとまだ、店長やら社員の人たちがいるだろう。
たぶん、城崎さんも……。


お店の前に着くと、さっきの女の子がまだいた。

この子が用事ある人は、まだ店の中にいるんだろうか…。


目が合ってしまったので、ぺこりと会釈だけすると、あたしは関係者口から中に入った。


「あれ?夕菜、どうしたー?」


控室に入ると、先輩が数人まだ残っていた。


「ちょっと携帯忘れてきちゃって……」
「何バカやってんの」


あたしのドジに、先輩たちは笑っていた。

そんな先輩に「ですよねー」と受け答えしながらロッカーを開けると、やっぱり取り残された携帯がぽつんと残っていた。


携帯を手に取って、すぐに帰ろうと思ったが……


「そういえば、夕菜知ってるー?」
「え?何ですか?」


先輩たちに話しかけられ、結局あたしは30分近く話し込んでしまっていた。