「……あれ…?」
駅へ向かう途中、明に「終わったよ」メールをしようと携帯を探したが、鞄の中から見つからない。
上着のポケットを見てもない。
「ロッカーだ……」
おそらく、携帯はお店の控室のロッカー。
どうやら忘れてきたようだ。
「最悪……」
あたしは「はぁ…」と深いため息をつくと、今来た道を引き返していった。
たとえば今日が、金曜ではなかったら、取りに帰らなかったかもしれない。
明の番号くらい、とっくに記憶しているから、家の電話からかければいい。
だけど今日は金曜日だ。
さすがに週末ずっと携帯ないのは困るので、取りに行くしかない。