会話はなかった。
だからこそ、なんで城崎さんがこんな送ることをしてくれるのか分からなかった。
あたしはただずっと、助手席の窓から見える外の風景を見送っていた。
「そこ……曲がったらもう家なので、この辺で大丈夫です」
「……ああ」
車に揺られること30分弱。
あたしの家にはあっという間に着いた。
数メートル先には自分の家。
実家暮らしだから、あそこには家族がいる。
だからさすがに家の前に停められるのはマズイと思って、少し離れたところで停めてもらった。
「送ってくれてありがとうございます」
「……」
城崎さんは何も言わない。
本当に、彼が何を考えているのか分からなくて、一瞬降りるのをためらったが、これ以上ここにいる理由も見つからず、あたしはドアに手をかけた。
そのとき……