「なんだか…寂しいね……。
 お揃いの物がなくなっちゃった……」


コーヒーを一口すすりながら、声に漏らした。

明も少し困った顔をすると、


「なくさないと、俺がいつまでも未練たらたらになっちまうからな」


そう言って笑った。

その笑顔に、ツキンと痛む。


「それ飲んで落ち着いたら、家に帰れよ。
 ちゃんと送ってくから」

「……泊まっちゃダメなの?」

「当たり前。
 もう付き合ってもねぇのに、簡単に泊めらんねぇよ。
 俺だって男だし」

「……」


軽く突き放された気がした。

というよりも、わざと冷たくされている気がする。


帰りたくない…。
明と一緒にいたい……。

だってあたしが好きなのは明だ、って頭が言ってるんだもん。



「好き……だよ」



あたしは言葉に出した。