(だからっ……だからもう諦めようと思ったっ……。
 あなたが相手だったら、裕翔のことっ……もう譲ろう…って……)


譲る…
諦める……


きっと後から出てきたのはあたし…。
あたしが彼女の幸せを壊したんだ。

彼女だけじゃない。
自分の身勝手な想いで、あんな優しい明を手放して……。


自分の知らない半年。
だけどその半年の間で、あたしはたくさんの人を傷つけた。


記憶がなくなりました。
というだけじゃ済まされない。



「夕菜!」



一人立ち尽くしていると、誰かに名前を呼ばれた。

ゆっくりと振り返った先にいたのは…


「こんなところで何やってんだよっ」


息を切らして、あたしに駆け寄る明だった。