頭の中に
一つの記憶がよみがえっていく。


横断歩道の前で、次々に人にぶつかられながら
あたしの頭に、ぼんやりとした映像が映し出された。

それはまるで、カメラのピントが合わさっていくようにどんどんとハッキリしていく。


二人の幸せそうな笑顔。

男の人と、女の人。


城崎さんと……

相手はあの女の人だった。


彼の隣に並ぶのは自分じゃない。

あの人だ……。


記憶は完全ではないのに
だけど確信していた。


彼と付き合っていたのは、彼女だ。