あの時、あたしを抱いた裕翔。 キスの仕方も、 抱き方も、 匂いも声も、明とは全部違う。 「夕菜?」 ピタリと止まってしまったあたしに、明が不思議に思ってあたしの顔を覗き込んだ。 「あ……」 あたしは一瞬、ひるんでしまったが…… 「なんでもないよ」 そう微笑み返して、自分から明に口づけた。 裕翔とあたしは、あの日一夜限り。 あたしが愛しているのは、目の前の明―――。