「んー……やっぱ少しだけ、久々な感じ…?」
向かった先は、あたしのかつてのバイト先だった。
どうしても、自分の中では、今も通っている場所の感覚だけど、実際は2か月以上前に辞めているらしい。
あたしは変な気持ちのまま、店に踏み入れてみた。
「あ!夕菜せんぱーい!」
店に入るなり、聞きなれた声が聞こえた。
振り返った先には、
「エミちゃん!」
あたしに一番なついていた後輩が。
「ちょっと久々じゃないですか!遊びに来るの」
「そ、そうだね」
自分の記憶のことを言おうか悩んだけど、あまりおおっぴらにしたくないので、相手に話を合わせることにした。
「もしかして~、この前あたしが言ってた、新作を見に来たんですか?」
「え?あ、そうそう」
エミちゃんは、「やっぱり~!」と嬉しそうに言うと、その新作とやらの場所にあたしを案内した。
「じゃーん!これですよ!」
「わっ、可愛いー!」
それは確かに可愛くて、あたしのツボを刺激するデザインだった。