あたしの記憶の中では、金曜日はいつも明の家に行ってた。

バイトをして
終わったら明と外で待ち合わせするか、先に明の家に行ってて……。

だけど今はもう、それはしてはいけないらしい。


あたしはふと気になって、鞄からキーケースを取り出した。
そして開いた先にくくりつけてある鍵は……


「あ……」


見覚えのない鍵。

あたしの家でもなく、明の家でもない。
新しい形をした鍵だった……。


チャリ…と手に取ると、なんとも言えない愛しさが込み上げてきた。


きっとこれは、城崎さんの家の鍵。
となると、あたしは毎週金曜日は、城崎さんの家に行っていたんだろうか……。


でも彼は、あたしと付き合って1週間と言ってた。
じゃあ、まだそんな習慣は出来てない?

あたしは必死に記憶をさぐったが、いつまでたってもそれは見つからなかった。



「……よし…」


そしてあたしは、ある決心をして、家を出た。