「あいつなー、無駄に仕事忙しいからなー。
店に出る日は、必然的に9時まではいなくちゃなんねぇし」
「店?」
「え、聞いてないの?」
当然のように話していた明に、あたしは首をかしげた。
明は驚きながらも、説明をした。
「夕菜がずっとバイトしてた店のサブマネージャーだよ」
「ええ!?」
あまりにも予想していなかったことに、思わず声をあげる。
城崎さんが、あのお店の……?
「ちなみに、夕菜は数か月前に、バイト辞めてるからな」
「嘘!!……どうして…?」
「……さあな。俺には、最後の学生生活を自由に過ごしたいって言ってたけど……、たぶんヒロと俺に関係してたんじゃない?」
「……そっか…」
毎日明から聞かされることは、あたしの知らないことばかり。
たった半年の間に、あたしの周りではずいぶんたくさんのことが起きていたみたいだ。
「あたし……どうして、明じゃなく、城崎さんを好きになったのかな……」
ぽつりと、そんな言葉を漏らしてしまった。