このまま 全てが溶けてなくなってしまえばいいと思った。 この人に 全て身をゆだねてしまいたいと思った。 だけど…… ドンッ…と、あたしは再び彼の体を押した。 「あ…の……」 彼は何も言わない。 ただあたしの顔を見てる。 駄目… これ以上彼の目を見てちゃいけない……。 「ご…めんなさい……」 あたしはぺこりとお辞儀をして、今度こそ彼のもとから離れた。 今度は彼は追ってこなかった。