「夕菜っ……」


息を切らして、ベッドで横になるあたしに駆け寄る。


彼の姿を見た瞬間、
心臓が大きく飛び跳ねた。


「よかった……」
「もう……夕菜ってば、いつの間にこんな素敵な彼氏を……。
 お母さんはてっきり、あき……」


ここまで話して、お母さんは「しまった」と言わんばかりに口を閉ざした。


あき…らくん……って言おうとしたんでしょ?
ねえ、そう言ってよ。


だってあたし……





「………だ……れ……?」




目の前のこの人に、見覚えがないんだから……。