目を覚ますと、独特の薬品の匂い。

白いカーテンに白い天井。


口元には、酸素マスクがかけられていた。


あたしは精いっぱいの力を振り絞って、指先を動かした。



「夕菜!?」
「夕菜!!」


その途端、あたしの目の前に詰め寄る二つの影。


「おか…さん……おとう……さん……」


そこには、心から心配した顔で覗き込む両親の姿があった。


「よかっ……よかった……」
「今、先生呼んだからな!」


お母さんはあたしに倒れこむように抱きつく。
お父さんの瞼にも涙が溜まっていた。


「あ…たし……」


どうして?と声に出す前に、頭がツキンと痛んだ。


もしかしてあたし…
すごい怪我をしてる……?