「夕菜先輩!」
「エミちゃん!」
金曜日20時。
駅前のデパートの入り口で携帯をいじっていると、待ち合わせ相手が来た。
「お久しぶりですー!」
「ほんと久しぶり!元気だった?」
「はい!」
今日はあたしがバイトを辞めてから、初めて後輩のエミちゃんと二人で飲みに行く約束をしていた。
エミちゃんとは本当に久しぶりだった。
バイトを辞めてからだから、もう2ヶ月ちょっと。
つまり……
裕翔と別れてから、もう1か月になる。
「やっぱり夕菜先輩が辞めてから、毎日がさみしくて…」
「はは。でもほかにも優しい先輩方々がいるでしょ?」
「そうですけど……。でもあたしには、夕菜先輩が一番でしたもん」
そう言って、ちょっとふてくされ顔をするエミちゃん。
「もー、可愛いなぁ!」
「きゃっ」
あたしは思わず、エミちゃんをぎゅっと抱きしめた。
「とりあえず、どっかお店入ろっか」
「はい!」
そしてあたしたちは、適当な居酒屋に入った。