「こう見えて、僕、彼女に一途なんですよ」
「全然説得力ないです」
「ははっ、そうだよなぁ」


いつの間にか、城崎さんへの棘が抜けて、自然体で話すようになった。
城崎さんも、お店で偽っていた嘘の笑顔や、さっき見せた少し怖い意地悪な表情もしなくなっている。

一緒に笑い、一緒に驚き、いろいろなことを共感した。


「一途な人だったら、彼女以外の人を、こんなふうに飲みに誘ったりしないんじゃないですか?」
「な。俺も意外。正直、今まで誘ったことねぇよ」
「え……」


それが真実なのか、嘘なのか、あたしには見抜くことが出来なかった。
でもひとつ言えるのは……


「あたしだって同じです。
 彼氏以外の男の人と二人でなんて、飲みに行ったことありません」


これだけは真実だった。