「とうちゃーく」
あれから、明に手を引かれ、
あたしは明の家へと連れて行かれた。
裕翔があれ以上追いかけてくることもなく、あたしの心は空っぽのまま。
この先こんなことをしても
明の前で笑える日は来るのだろうか…。
「とりあえず上がって。くつろいでていいから」
「……うん…」
明にうながされて、あたしはソファーの上に腰かけた。
少し前までは
いつも笑顔で座っていたソファー。
そういえば、このソファーも一緒に買いに行って選んだっけ…。
「コーヒーでいい?」
「うん」
明は、キッチンへ行くと、二人分のコーヒーを入れ始めた。