「行こ、夕菜」


明は、あたしの手を引いて歩き出す。


「おいっ!」


だけど後ろから聞こえる、最愛の人の声。


お願いだから、あたしのことは忘れて。
きっと、この先一生、明から離れることはできないから……。


あたしは立ち止まると、ゆっくり裕翔のほうへ振り返った。



「ごめんね。裕翔。
 裕翔との時間、結構楽しかったよ。

  バイバイ……」



そしてあたしは歩き出した。



本能よりも

理性を選んだこの日。



あたしはこの先一生、自分の気持ちに嘘をつく。