「遅いから迎えに来たよ」

「明……」
「……」


そこにいたのは、明だった。


あたしと裕翔の姿を見て
怒ることもなく、微笑みかける明。


だからこそ、あたしはぞっとした。 


「おいで?」
「おいっ」


あたしは裕翔の手を振り切ると、明に向かって歩いた。


「夕菜!」

「悪いな。裕翔。
 夕菜は返してもらう」


あたしを抱き寄せ、裕翔に笑いかける明。

後ろから、痛いほどの裕翔の視線を感じる。