「なんで、って……何が…ですか?」
「さあ?」


そう言って、やっぱり言葉を濁す。
だけど、城崎さんはあたしを見るのをやめない。


「あの……あまり見ないでください…」
「なんで?」


あなたに見つめられると……ドキドキしてしまうから……。


その言葉を飲み込んで、あたしはコップへと俯いた。


「浮気って、したことある?」
「はい?」


突然ふられた質問。
あまりにも唐突すぎて、つい間抜けな声を出してしまった。


「あるわけないじゃないですか!」
「そんなムキになんなよ」


あたしの反応に、くくっと笑う城崎さん。
そしてすぐに、

「俺も」

と続けた。