「だからも~、あたしは彼に愛されてて、すっごい幸せなんですよ~」
もう何杯目だろう。
城崎さんが連れて行ってくれたのは、学生のあたしが来れないようなちょっとオシャレなバーだった。
そこであたしは、普段あまり飲まないくせに、お酒のおいしさに負けて、過去新記録並みに飲んでしまっていた。
そして、バカみたいに、彼氏の惚気話を話している。
「お前、アレだな。おいしくないと思っても、見た目がおいしそうだったら、おいしいって言ってしまうタチだろ?」
「え?なんですか、突然…。でもまあ……そうですねぇ」
確かにそうだ。
味はイマイチでも、お店の雰囲気がよかったり、盛り付けが綺麗だと、それがおいしいものだと思い込む。
「自分の恋愛もそのパターンだな」
「な……」
さすがにその言葉には、ムッときた。