「夕菜…!」
「ごめん、結局戻ってきちゃった」
9時を過ぎたところで、あたしは裕翔の家に戻ってきた。
本当はそのまま自分の家に帰るつもりだったけど
今はどうしても、裕翔の温もりがほしかった。
「入れよ」
「うん……」
玄関先で驚いていた裕翔も、すぐにあたしを迎え入れてくれた。
「体、冷えてんな」
「結構夜は冷えるよね」
「そうだな。俺も今帰ってきたところだし」
たしかに、裕翔はまだスーツの下に着ているワイシャツのままだった。
「風呂でも入ってこいよ」
「……」
「夕菜?」
「……一緒に入ろ」
初めて、そんな言葉を発した。