あたしは、断るタイミングを失ってしまい、どうしたらいいのか分からず、一人店の前で立ち尽くしていた。
「待たせたな。行くぞ」
「え?」
店の中から出てくるなり、急に前を歩きだした城崎さん。
あたしにはもう、何がなんだか分からなかった。
「あ、あのっ、行くってどこに?」
「別の飲み屋」
「え、なんで?」
「あんなところじゃ、全然飲んだ気になんねぇ。飲み直すから付き合え」
この人は何様だ?と思うような発言。
だけどまだまだあと半年はお世話になるお店の、サブマネージャーとなった人。
あたしは今にも暴言を吐いてしまいそうな自分を抑え、なんとか断る理由を見つけた。