「いってぇ~……」
「ご、ごめん……」


押しのけた反動で、明はテーブルに背中を打った。
あたしはつい謝ると、明はあたしの知らない笑顔で微笑んだ。


「ひどいよなぁ。夕菜は……。昨日の夕方まで、ずっと触れ合ってたじゃん」
「ぁ……」
「それなのに、急に?別れる?何それ」


口は笑っているのに、目が笑ってない。

あたしは初めて、明が怖いと思った。


「夕菜……」
「やっ……!!」


再び迫ってくる明に、あたしは後ずさりをした。


「触れるのも嫌なの?」
「……」


嫌なんじゃない。

怖かった。


今の明は怖い……。




「ヒロだったら抱きついてくるんだろ?」




それは

あたしが予想すらしていない言葉だった……。