「明が、どうかしたんですか?」

《あいつ、今日無断欠勤しててさ。連絡しようにも全然携帯繋がらないし…。
 明が無断で会社休むのなんて初めてだから、ちょっと心配になったんだ》

「そうだったんですか……」

《その反応だと、夕菜ちゃんも知らないみたいだね》

「はい…すみません」

《ううん。それじゃあ、明と連絡がついたら、会社にもちゃんと一報いれるよう伝えておいて》

「はい!」

《ありがとう。それじゃあ》


電話はそのまま切れた。



明が会社を無断で休む。

確かにすごくめずらしいことだった。


会社だけじゃなくて、大学だって休むこともなかった。
熱を出したって、無理やり行こうとしてたくらいの人だったし……。


ということはやっぱり……


「……」


あたしは鞄と上着を手に取ると、家を出た。