夕方を過ぎたころだった。

突然携帯が鳴りだす。

あたしは明かと思って、慌てて手に取ったが、それは明の同僚の中西さんからだった。


「もしもし…?」
《もしもし、夕菜ちゃん?》
「はい。えっと……どうしました?」


中西さんから電話が来るなんてめずらしい。

中西さんとは、明を通して何度か食事をしたことはあるけど、こうやって連絡を取り合うことはまずない。

だからこそ、突然来た電話が謎だった。


《明、どうしてるか分かる?》
「え?」


それはあたしも気になっている、明のことだった。