毎晩寝るとき この指輪を眺めるのが日課だった。 明から受けたプロポーズを何度も頭の中にリピートさせて そのたびに思わずにやけてしまいそうな嬉しさと照れ。 愛しくて 大切で 一生大切にしようと誓った指輪。 だけど今は、 この指にふさわしくない。 あたしは裕翔を起こさないようそっと起き上がると 2年間、ずっと外すことのなかった指輪を静かに抜き取った。 「……ごめんね…」 そしてそれを、鞄にしまった。