城崎さんの歓迎会という名の、彼の争奪戦とも見える飲み会は、あたしにとって決して楽しいものではなかった。
2時間くらい経って、そろそろ帰ろうかと思い、あたしは一言店長に声をかける。
「すみません、あたし明日、学校が1限からあって早いので、もう帰りますね」
「あ、そお~?おつかれぇ」
もちろん、単位をとっているあたしが、学校が1限からあるなんて嘘だ。
だけどベロベロに酔ってしまっている店長は、そんな嘘に気づくわけもなく、あたしはすんなりと帰れた。
ちょっとトイレ寄ってからにしよ。
そう思い、あたしはトイレへ寄って、ある程度の身だしなみを整え、店内を出た。
だけどそこには……
「あぁ。もう帰るよ。心配するなって」
みんなに歓迎されているはずの、城崎さんがいた。