あの時は、自分にはこれ以上の人はいないと思ってた。
いままでたくさん恋はしてきたつもりだったけど
明にたいしての感情は、今までしてきた恋よりも、ずっとずっと大きいものだと…。
この先、一生ともにするのなら
明がいい……。
そう思えるほど……。
「夕菜は運命の相手って信じる？」
「運命？うーん……あんまりそういったものは信じてないなぁ…」
「うわー…女の子なのに、冷めてんなー」
付き合ってから分かった。
明は結構ロマンチストだと。
だけどあたしが少し冷めたところがあるから、逆にそれが緩和されてよかった。
「俺はあると思う。
夕菜が運命の人だって……。
俺がずっと、兄貴の相手に片思いしていたのは、夕菜が現れるまでほかに目をむけさせないためだったんだって」
「あきら……」
運命とか、目に見えないものはあたしは信じない。
だけど明との出逢いが、その運命というものがもたらしたものならば
ちょっとだけ信じてみてもいいかな、って思ったんだ。
