「ん…」
私が目を覚ましたのは夕方だった。
体の上には毛布がかかっている。
意識が途切れる寸前のことを思い出した私は
勢いよく起きあがり、あたりを警戒した。
「…誰もいない?」
しんと静まり返った部屋の中。
木下君の姿を探すけど、どこにもいない。
私は急いで家を出た。
外はまだ少しだけ明るい。
自分の服が乱れていることも気にしずに
私はふらふらしながら自分の家の方向に歩きだした。
駅の前を通りかかった時
その人は私に声をかけてきた。
「おい!!藤本!!!」
男の人の声。
私は木下君だと思い込みびっくりして尻もちをついた。
「きゃっ」
「だ、大丈夫か!!」
びくびくしながら顔をあげる。
「藤本?」
そこにいたのは祐樹だった。