「今日は家族皆外に出てるんだ」


急に木下君がそう呟く。


私は紅茶を1口すすり、木下君の顔を見た。



「だから、誰にも邪魔されない」


何かがおかしい。




「誰かにとられる前に俺のものにしたい」


「木下君…?」



視界がぼやける。
体がふわふわしてきた。



「茉莉亜もきっと幸せになれる」


私はソファに倒れ込んだ。




意識が途切れる寸前
木下君が私の上に覆いかぶさる姿が見えた。



少しでも木下君を信じかけていた私。
馬鹿。


本当に馬鹿。




最後に頭に浮かんだのは
キヨ先生の笑顔だった。