今しかない!!


きっとこのチャンスを逃したら木下君から逃げることはできないと思う。


私は走り出した。



足がすごく速いわけじゃないけど今まで感じたことのない風の速さ。

このまま行けば誰か人に会えるはず…!





















「藤本さん。やっぱり女の子だね」


ふわっと木下君の長い腕に包みこまれる。

「もう逃がさないよ」




私にはもう抵抗する力もなかった。

「中入って?お茶飲んで落ち着こうよ」



返事をする気力もなく
木下君にしっかりと掴まれた右手がじんじんする。






家の中に入ると
中もすごく広くて、豪華な装飾品がたくさんあった。


いつもの私なら喜んで見学するはずなんだけど
そんな気分になれるはずもない。