-放課後-



今日は入学式の次の日で、
授業もほとんどオリエンテーションだったから川が流れるように早く時間が過ぎた。


美紀以外にもたくさん私に話しかけてくれる子がいて、
メールアドレスとかも交換した。




このことを祐樹に報告したかったんだけど、
帰りのHRが終わった瞬間に私は他の子に囲まれて話しかけられずじまい。


祐樹は私の視線に気がついたのか
手を振って友達と帰っていった。




きっと私が新しい友達の皆に囲まれているのを見て、
あえて声をかけずに帰ってくれたんだと思う。


中学の頃もそうだった。
いつも優しくしてくれた。



…今度ちゃんとありがとうって言わなきゃ。



「茉莉亜!今からカラオケいかない?ほら、皆も」



美紀がそう提案してきた。


こんな大勢でカラオケに行けるなんて嬉しい。




「お前ら~まさか俺を省くつもりじゃないだろうな!」


この声って…



"キヨじゃん""キヨ先生!!""キヨちゃんだぁ"…



女子の黄色い声が飛ぶ。


「急いで仕事終わらせて正解だったよ!!鍵に閉めにきたら楽しそうな話してるし。いいだろ?交流を深めるってことで担任の俺が入っても」


キヨ先生は教室の中に入り、窓の鍵を確認しながらそう言った。