「美紀…幸せそう」
私は舞台袖でそっと美紀の姿を見ていた。
二人はこの劇で両想いだと気づいたはず。
だって、さっきのセリフ台本になかったし。
…よかった。
本当によかった。
「まりあちゃん」
「あ、先生」
「あの二人上手くいったな」
「はい!!」
「…仲村も佐藤もいい笑顔してやがる」
「悲恋なのにこんなにも心が温かいです」
「すげぇ…温かいな」
劇が終わり、会場が拍手でいっぱいになった。
幕が下がった後
感極まって泣く子もたくさんいた。
私たちは頑張りの結晶として
出し物で一番優秀な成績を残したという記念トロフィーをもらった。
こうして私たちの文化祭は
劇の練習で始まり、劇の成功で終わりをつげた。