高鳴る鼓動を抑えながら私は先生の斜め後ろを歩いた。
「いたいた!まりあちゃんあっち」
先生の指さす方向を見ると
河原に続く階段に二人は座っていた。
人も少ない。
私と先生はこっそりと近づき
二人とは少し離れた場所に座った。
一応喋り声は聞こえる位置だと思う。
でも何かを話している様子はない。
後ろではいろんな人たちの笑い声、喋り声…。
私は息をのんで二人の姿を見ていた。
「藤井君」
美紀が口を開いた。
私は先生と目を合わせる。
お互いうなずきあい、また美紀と祐樹の方に目線をおとした。
「はぁ…やっと口開いたな仲村」
「…ごめん」
「謝ることじゃないけどさ。変な空気だなーって思ってた」
「…」
「担任と藤本置いてきてよかったのか?」
「ん…」
「おいおいなんか変だぞ」
美紀、頑張って…!
私は思わず両手を組むようにして祈っていた。