私はそこで初めてその人に
「助けてくれて…ありがとうございました!!!」
深々と頭を下げ、お礼を言った。
「えっ!?ちょ…顔あげてよ!俺こういうの苦手なんだよね!!」
私はゆっくりと顔をあげて、その人の顔を見る。
「まぁ…あれだよ!痴漢とか男がもっともやっちゃいけないことだし!見たところ俺の学校の生徒だなって思ったから」
「え!?」
俺の学校の生徒…?
ってことはこの人…
「俺こう見えて先生!よろしく」
ニヒヒと笑うその笑顔はまだ幼くて
高校生に間違われてもいいくらいだった。
「ちなみにー…名前は?」
「えっわ、私のですか?」
「そそ!ってかお前以外に聞くやついないよ笑」
「ああっ…えと私は藤本茉莉亜です」
「まりあちゃん…ねえ?」
少しニヤニヤしながら私の顔をじーっと見つめる。
な、何…?
耐えきれなくなった私は
少し下を向いて
「先生…の方こそお名前は?」
そう聞いてみた。