別に朔羅に後ろめたいとか気持ちはない。


やましいことがあるわけじゃないし、ホントに手伝ってもらいたいことがあるからだ。


超!健全な図書館だしな。


でも俺の胸が痛んだ理由は





――――朔羅のこと泣かせないでね。





俺が朔羅と付き合ったとき川上と約束したことを


守れなかったからだ。


「朔羅はこねぇよ」


思わず声が低くなって、だが川上は俺の異変に気づかず


「何で?バイト?」とのんびり聞いてくる。


「いや。あいつ日射病で倒れたんだ。


大したことないけど大事をとって今日は入院」


「日射病!?嘘っ!!」


川上はさっきののんびりした声から一転途端に慌て始めた。


「大丈夫だって。精密検査もしたけど異常なしだし」


「そぉ?」


川上はまだ疑り深い目で俺を見上げてきて、


「疑ってるのかよ」


俺は目を細めた。


川上は鋭いな。


それ以外に





朔羅と喧嘩した―――




ってこと、言えなくて



俺はまたも……まるで鉛を詰まらせたような気分になった。