注射筒に入った液体の容量を見れば、それが致死量に達しないまでも人一人を瞬時に眠らせることができる量だと分かった。


注射器の針が私の首に向かって振り下ろされそうになったとき


私は片手でキョウスケの腕を掴み、片手で再びキョウスケの腹に肘うち。


だが今度は手を読まれたのかあっさりと避けられ、


だが甘いな。


一回だけと思うな!


私は腕を掴んでいた手でもう一度今度はキョウスケの顔をめがけた。


その一発はキョウスケに命中したようで、キョウスケは壁に背をついた。


私はキョウスケの手からブピカインを奪うと、今度はキョウスケの首めがけてそれを振りかざした。


腕を振り下ろす寸前


「お嬢―――やめてください」


キョウスケの声を聞いたが







「私はお前のお嬢じゃない。





我が名は








黄龍」









私はボタンが飛び散ったワイシャツの胸元を乱暴に開け、紋を見せると


キョウスケは目を開いたが


やがては


私が打った麻酔薬のせいで―――ゆっくりと






目を閉じた。